うつぎざき歯科医院の歯周病治療
歯周病の治療にあたっては、しっかりと検査を行い、検査結果に基づいて的確な治療を行い、治療の結果を検査で確認し、検査結果に基づいて次のステップの治療を行っていくという流れで治療を行っていきます。検査の結果や治療前後の状態は、客観的な資料で患者さんにご説明し、患者さん自身に自分のお口の中や歯周病の状態を理解いただきながら治療を進めていきます。歯周病の原因となっている歯石やバイオフィルムの除去は、トレーニングされた歯科衛生士により確実な技術で行います。歯石やバイオフィルムの除去だけでなく、口腔内の細菌の検査に基づく歯周内科治療、かみ合わせの問題に対する治療、など歯周病のそれぞれの患者さんの原因に対して的確な治療を行っていきます。
歯周病の原因を的確に診断するための精密な検査
位相差顕微鏡によるお口の中の細菌の検査
肉眼では見ることができない口腔内の細菌を調べていきます。
口腔内には500種類以上の細菌が生息していると言われ、自覚症状なくても歯周病検査を定期的に受ける必要があります。
位相差顕微鏡での検査は、治療前後の様子が分かりやすい検査です。
お口の中の歯垢を採取し、その中の細菌の状態を、位相差顕微鏡という特殊な顕微鏡で調べます。
歯周病の原因となっている代表的な細菌
- スピロヘータ
- トレポネーマ デンテイコーラ
- 口腔トリコモナス
- 歯肉アメーバ
- カンジダ(カンジタ・アルビカンス、カンジダ・トロピカーリス、カンジダ・グラブラータ
- ポルフィノモナス ジンジバーリス
- プレボテラ インターメディア
- アクチノバシラス アクチノミセテムコミタンス
歯周病検査 6点法
歯周病検査では、最深部の1点法、ほかに4点法がありますが、当院では基本検査を6点法(頬側で3点、舌側で3点)で行っています。
一つの歯で6点の検査をするという方法でつまり28本の歯に対して×6=168本の歯を検査いたします。
歯周病の検査
①歯周病の基本の検査
歯周ポケット検査(6点法)
歯周ポケットの検査は歯周病の進行状態を評価するために必要な検査です。歯周ポケットを測定する専用の器具を挿入(プローピング)して、歯周ポケットの深さを調べていきます。
歯周ポケット検査には、最深部の1点を測る方法、歯の周りの4点を測る方法もありますが、当院では歯の周りを6点測る方法(頬側で3点、舌側で3点)で行っています。
一つの歯について6点を測ることで、より正確に歯周病の状態を調べることができます。
出血の有無
歯周ポケット測定時に出血の有無を確認します。
出血がなければ健康な歯肉ですが、出血するところがあれば、その箇所には炎症があるということになります。
動揺度
歯の動揺度を調べます。
歯周病が進行していると歯槽骨が溶けてしまい、歯がぐらぐらしてきます。
②デンタルレントゲン(10枚法)
歯周病検査におけるレントゲン検査は、部位ごとに撮影できるデンタルレントゲン写真を10枚撮影する方法で行っています。
口腔全体を1枚で撮影するパノラマレントゲン写真よりも精密に撮影ができます。歯肉の上からは見えない、歯に歯石の付着している状態、歯を支えている骨の状態を調べることができます。
③口腔内写真
口腔内撮影用の一眼レフカメラで口腔内を撮影し、記録し、歯肉の炎症の状態や形態の変化の判定に使用します。
④口腔内模型
歯周病の症状は、かみ合わせに問題があることによって出る場合があります。かみ合わせの診断のために口腔内の模型をつくります。
⑤歯周病菌検査
歯周病は口腔内の細菌が引き起こす感染症です。歯周病の原因となる細菌の量の多さが歯周病に影響しています。位相差顕微鏡という専門の顕微鏡を使用して、肉眼では見ることができない口腔内の細菌を調べます。また、より正確に歯周病菌を調べるために、ペリオPCR検査WP行う場合もあります。
歯周病とかみ合わせ
かみ合わせが悪いことにより、歯に不自然な強い力が加わり歯ぎしりと同様に歯周病の症状がでる場合があります。歯周病は細菌が原因で起こる病気ですが、その原因の一つに咬合力であるかみ合わせの一因もあります。かみ合わせの異常で歯ぎしりや食いしばりにより、過大な力がかかり続けると歯が揺さぶられ、歯ぐきや骨に影響がでて、歯周病になっていく場合あるため、かみ合わせが悪いけど、歯周病ではない場合でも歯周病になる可能性が高いことからしっかりかみ合わせを治すことが大切です。また、かみ合わせが悪いと歯並びも総じて悪くなることが多いです。歯並びが悪くてもクリーニングやブラッシングで除去できていれば問題ありませんが、そうでない場合は汚れが溜まり細菌の繁殖につながり、結果的にむし歯や歯周病になってしまいます。歯周病の場合は歯がグラグラして噛む度に揺れることで歯の位置がズレて歯並びが変わることでかみ合わせにも影響がでてきます。
このようにかみ合わせが悪ければ歯周病は進行しやすく、歯周病が進行するとかみ合わせが悪くなります。このような状態にならないためには、かみ合わせをしっかり整えることで歯周病になりにくくすることです。そして歯周病にならないために定期的な検診を受けていただき、予防をしていきましょう。歯周病は無症状でも進行していく病気ですので日々のブラッシングと定期的な検診を習慣にしていくことが望ましいです。
なかなか歯周病が治らない方の原因と治療
- 歯周病って一度なったら治らないの?
- 歯医者に行って歯周病と言われ、抜歯だと言われた
- 歯周病を治しては再発している
- 歯周病かもしれないと思ってたが、そのうち治ると思い放置していた
などと思い歯周病は治らないと思っている方がいらっしゃるのではないかと思います。
「歯周病が治る」という定義には「歯周病の原因菌を口腔内から除去した状態」と定義されるため、治るか治らないという答えでは歯周病は治らないが正解です。
しかし、当院が考える歯周病が治るの定義は、歯周病菌を除去し進行が治まり、バイオフィルムのない健康的な状態と定義をすると歯周病は治るとなります。
当院では歯周病なかなか治らない症状でも歯周病菌である原因菌に対して歯周病の精密検査することで原因が分かり治療をすることができます。
歯周病の治療
初期~中度の歯周病
①ブラッシング指導
歯周病の原因は、歯と歯ぐきのすき間の歯周ポケットにたまる細菌ですので、歯周病にならないためには、歯周ポケットをよく清掃しキレイにしておくことが大切です。歯周病治療の第一歩として、患者さんのお口の状態や歯の磨き方を踏まえての、正しい歯の磨き方をお教えします。
②歯石除去(スケーリング)
専門の歯科衛生士が、口腔内の歯垢(プラーク)、バイオフィルム、歯石などをキレイに取り除く処置を行います。手用スケーラー、P-MAXという超音波スケーラー、エアフロ―などの専門的な器具を使います。
③栄養指導
歯周病治療の一環として、管理栄養士による栄養指導を行います。
中度~
④SRP(スケーリングルートプレーニング)
歯周病が進んでいる場合は、歯肉の下の歯石を除去する処置を行っていきます。手用スケーラーまたはP-MAXを用いて行います。P-MAXにはURMチップというSRP専用の特殊なチップを用います。これによって、比較的軽度の場合は、無麻酔で行うことができ、効果的です。また比較的重度の場合は、麻酔をして、SRP用の手用スケーラー及びP-MAXを使用します。
⑤歯周内科治療
顕微鏡による歯周病菌検査で、細菌が多いことがわかった場合は、投薬により、細菌を減らす治療も行います。
ジスロマックという内服薬(抗生物質)とペリオバスターという殺菌作用を持つ歯みがき剤とを併用し、ジスロマックの効果が効いている間に歯垢や歯石を除去する処置を集中して行っていきます。
重度
⑥PCR検査に基づく投薬
歯周病の原因菌にはたくさん種類があり、患者さんにより、どのような細菌が存在しているかが異なります。
基本的な歯周内科治療に加えて、PCR検査(コロナ感染症のPCR検査とは違う検査です)という検査で口腔内の細菌の種類を特定し、特定した細菌に有効な抗生薬を投与することで、細菌を効果的に減らすことが出来ます。抗生薬投与により細菌が減っている期間に、集中的にSRPを行うことで、歯周病の改善が期待できます。
⑦半導体レーザー
中度~重度の歯周病の場合には、半導体レーザー使用して、歯周ポケット内の不良肉芽の蒸散や歯周病菌の殺菌を行います。半導体レーザーは痛みが少なく止血効果も高いレーザーで、歯周病の改善には有効です。
かみ合わせに問題がある場合
⑧かみ合わせ治療
歯周病の原因としてに、かみ合わせの要因が考えられる場合は、かみ合わせの改善の治療を行っていきます。就寝時に装着するマウスピースを使用していただく場合もあります。
Pマックス+エアフロー
当院ではP-MAXという超音波スケーラーを使用し、歯石の除去を行っています。
歯周ポケット内の洗浄や歯石除去に使用しますが、非常に弱い超音波で処置していくため、痛みも感じずに治療をすることが可能です。
さらにプラスして、エアフローという細かなパウダー状にした粒子をジェット噴射で歯に吹き付けることで歯についている汚れを除去していくものです。エアフローは歯の着色除去やヤニの除去に使用されていますが、歯周ポケット内の歯周病の細菌除去にも効果が高いため、歯と歯茎の健康のためにもエアフローによる歯石取りをはじめとする治療をしていきます。
また、プラークやバイオフィルム、ステインの除去をや歯肉やインプラント周辺に対しても効果的で優しい治療です。P-MAX+エアフローによる治療では軽度な歯周病の場合には麻酔をしないで初期の歯周病の場合はP-MAX+エアフローで治療ができ改善することができます。
半導体レーザー
当院では半導体レーザーを完備しており、重度の歯周病の場合に使用しています。半導体レーザーは痛みが少なく、止血効果も高いレーザーです。そのため、重度の歯周病にも対応しており、痛みや出血を抑えながら歯ぐきを切開できるため、治療時の負担が少なく治療を行うことができます。
リアルタイムPCR法
歯周病の原因となる菌には、位相差顕微鏡で確認できない菌もあります。
PCR検査(Plaque Control Record プラーク コントロール レコード)という歯垢がどれくらいついているかの検査です。
リアルタイムPCR法による歯周病菌の検査では、
- Treponema denticola(トレポネーマ・デンティコーラ)
- Porphyromonas gingivalis(ポルフィノモナス・ジンジバリス)
- Tannerella forsythus(タンネレラ・ファーサイシア)
- Aggregatibacter actinomycetemcomitans(アグリゲイトバクター・アクチノマイセテムコミタンス)
- Prevoterlla intermedia(プレヴォテーラ・インターメディア)
- Fusobacterium nucleatum(フソバクテリウム・ヌクレアタム)
などの位相差顕微鏡で確認できない菌の存在を調べることができます。
歯周病の原因菌を特定することができれば、原因菌にあった抗菌剤を投薬することで、歯周病の改善が期待できます。
Pg菌は、歯周病の原因細菌で、強い毒性を持ち、炎症に伴うわずかな出血から栄養を得ています。毒素を出して炎症を引き起こし、そのことでまた増殖し、歯周病を発症・悪化させています。
そのため、歯周病かもしれない方にはPCR検査を行いリスクを知り治療、予防をしていきます。
※新型コロナウイルスのPCR検査と異なります。
抗生薬治療
PCR検査で細菌の確認をしたあとは、その検査結果に基づき、歯周病菌に効果のある抗生薬治療を併用しながらスケーリングによる歯周病治療を行います。抗生薬治療では、殺菌力の高い抗生剤を服用し、体の内側から細菌を殺菌していきます。個人差はありますが、1週間くらい服用していただくと病原菌が死滅していきます。お薬の服用をしながらお口の汚れや歯石の除去にて再感染を防ぐためにスケーリングでお口の衛生状態をコントロールしていきます。メリットとしては、痛みがなく、細菌の特定ができ、短期間で原因菌を除去することができます。
歯周病を進行させないために
歯周病治療により歯周病の状態が改善されたら、その後は、歯周病を進行させないために継続的にメンテナンスを行っていきます。継続的なメンテナンスでは、次のことを行っていきます。
- 毎回、歯周病の状態を検査し、継続的に記録を管理していきます。
- 検査の結果に基づいて、必要な処置を行い、ご家庭でのセルフケアについて指導をいたします。
- セルフケアで除去しきれないバイオフィルムや歯石を、歯科衛生士がP-MAXやエアフロ―などの専門的な機器を用いて除去します。エアフロ―は歯を傷つけず、痛みも少なく、心地よく受けていただくことが出来ます。